初座研究会 その一

昨夜は、講座本番後の初の「初座研究会」でした。

 

研究課題

●香割

●初座手前

 

香割は、(香木ではなく)木片を相手に。

これは、研究というより稽古。

 

1.木の筋を見極め、どう割るか決める→最重要

2.鋸を引く→刃を当てる場所で幅が決まる。そして、充分な溝を穿つこと

3.鑿を当てて割る→ここで薄さが決まる。鑿の押さえ方は挟み込むように

4.必要な数を、適した表面積で割る

 

実際の香木は形も筋も硬さもいろいろなので、

上記の通りにはなりませんが、

整った立方体の木片でスムースに拵えられなければ、香木は割れないでしょうから、

レーニングにはいいと思います。

 

初座手前は、講座本番とは役割を替えて、ひと通り。

その後、執筆の動きについて、「研究会」らしいやり取り。

 

硯箱が大きい時と小さい時で、料紙の位置が違うので、

そのために変わってくる執筆の動きを検証。

特に、終盤の動きに3パターン考えられるので、どれが最適か話し合う。

判断基準は、「動きの合理性」と

「見た目の美しさ (客からどういう風に見えるか)」。

 

これは、自分達で勝手に手前を変えているわけではありませんで、

各自の記録と記憶にない所は、最終的にはお家元に確認するのですが、

その前に、「どういう動きがあり得るか」そして「どれが最適と思うか」を

考えておく…ということです。

 

いちおう結論を出して、すっきり解散。

 

次回は、8月頃かな?

 

 

 

続けて頂く、という事

毎月のイベント香席は、青山ゑり華さんで10年以上続けさせて頂いているのですが、

去年の初夏から、初めて自分で運営する「お稽古会」を始めてみて、

お稽古を続けて頂く事の難しさを、しみじみ感じています。

 

そもそも、A.イベント香席と、B.お稽古会の違いとは、

 

Aは、毎回の参加者募集で、メンバーは毎回違います。客として必要な所作等はお伝えしますが、それよりも、香りと組香を楽しんで頂く事が第一です。

 

Bは、継続しての参加が基本で、香りと組香を楽しんで頂く事が大事なのはAと同じですが、プラス、香道においての大事な事を知って頂き、身につけて頂くことが加わってきます。所作や手前の習得もそこに入ります。

 

初心者の方にとっては、AとBの違いは、内容的にはほぼ同じに感じられるでしょう。

では何が違うのかというと、それは「継続的に通う」事だと思います。

 

これが難しい…

 

若い方もそれなりにお忙しいし、環境や心境にいろいろな変化があったりします。

年配の方もそれなりにお忙しいし、体調の変化もあったりします。

 

毎月たった一日だけでも、その日を必ず香道のために空けておく事ができるのか、と言うと、

それはもうシビアな話、その方にとっての優先順位次第になると思うのです。

 

参加費も関係あるでしょう。

古心流では一回のお稽古代は4500円が基本と定められています。(2023年現在)

 

そこには「香木代」が含まれます。

プラス「香木を拵える事 (経験を積んだ香人でないと適切に拵えられないと思います)」、

さらには「香席を行う準備(組香のレジュメや資料の制作)」、

そして「当日の香席を行うための人件費」が含まれると思っています。

 

上記を熟慮した上で定められた「4500円」だと思いますが、

私は、4500円という金額は、決して気軽なものではないと思っています。

参加者にとって、それに見合った、実りあるひとときが過ごせたかどうか…は、

お稽古を続ける上で重要な判断要素となるでしょう。

 

「優先順位」

「参加費」

これは、講師側では直接的にはなんともしようがありません。

何が自分にとって大事かという優先順位は、その方が決める事ですし、

参加費が負担にならないかどうかもその方の判断次第です。

 

講師に出来る事は、毎回の稽古内容と過ごして頂くひとときを

より良いものにする事だけ。

 

でも、もうひとつ、出来ることがあるようにも思います。

 

30年近く前の話になりますが、

私がお香の稽古に通い始めて、半年たったあたりの頃、

やめようかなと思った時期がありました。

 

その理由は、

「優先順位」でも「参加費」でもありませんでした。

 

その頃は、お稽古会に、私よりずっと年上の大勢の先輩がいらして、

皆様、日本の古典など色々な事をよくご存じで、

(こんなに沢山の知識がないと香道はできないのか…)と愕然とし、

私には無理かもしれない…と思い始め、

自分はここに存在しなくてもいいように感じたのです。

「居場所がない」という感覚ですね。

 

そうして、何回かお稽古をお休みしたある日、

その時ご指導を受けていた先生からお電話がかかってきて、

「どうなさったの…」という、お言葉を頂きました。

私なんて、ものの数にも入らない生徒だと思っていたので、

尊敬していた先生からお電話を頂き、

(これは、お稽古を続けなければ…!)と、発奮いたしました。

 

単純でしょう (笑)

 

その時の事をあとから先生にお話ししても、先生は覚えておられませんでした。

つまり、(生徒、継続の危機!)と思われて電話なさったわけではないのです。

でも私には、将来を左右するほどの電話でした。

 

「あなたの事をちゃんと見ていますよ」という言葉やサイン、

そこに、

指導者にできるもうひとつの事があるような気がします。

 

 

宇都宮の皆さん、お香始めませんか?

香道 古心流のお香教室の紹介です。

 

今回は、宇都宮の教室をご案内いたします。

講師は増川碧峰(へきほう)さんです。

とても穏やかで上品な先生です。

(お会いする度に「観音様の微笑み」と思います)。

 

宇都宮の皆様は、東京に足を伸ばさなくても、

しっかりとした古心流の師範に、

香道を楽しんだり、本格的に学んだりできますね。

 

一言お伝えしておきたいのは、

一度体験しただけでは、本当の楽しさは分からないという事です。

 

お試しでも、ぜひ続けて数回は参加なさってみてください。

 

あなたの"生涯の趣味"となるかもしれませんよ。

 

 

コンセーレコミュニティー・カレッジ

『かおりの芸道 香道古心流』

⚫︎毎月第1日曜午後1時半〜

[場所]コンセーレ

宇都宮市駒生1-1-6

028-624-1488

[受講料]

6ヶ月分前納13,200円

香拵え料 初回に12,000円

・前期(4月〜9月)

・後期(10月〜3月)

[募集]毎年3月1日から、もしくは9月1日から受付 

※定員に空きがある場合は途中入会可

※コンセーレ手習塾が初めての方は要入会金3,000円

 

お申込・お問い合わせは、上記までお願いいたします。

 

 

聞香炉 (行の箸目)

※写真は本文とは関係ありません。

初座継承チームの旅立ち

古心流で受け継がれている手前に「初座」があります。

 

初座とは、客や亭主の出香した香木を、

組香に使用できる大きさに拵える手前です。(続く「懐石」も初座に含まれます)

 

組香をするために香を拵える事は、必要不可欠な準備ですが、

「初座」は"手前"ですので、

受け継がれた様式に則って、お客様の前で行われます。

 

古心流には、この初座の手前を受け継ぐチームがあります。

 

そのチームによる初の「初座の講座」が先日行われました。

かくいう私もそのメンバーなのですが、

「自分が行う」ことと、「人様にお伝えする」ことの違いは大きなものです。

 

ひとつひとつの動きに、

そのコツが伝わるような表現を持っていなければ

充分な指導はできない、と、改めて思い知らされました。

 

そのためには、「どう伝えれば、この方はうまくできるのだろう」と、

瞬間的にでも、突き詰めて考える必要があります。

しかも、お一人お一人、身体付きも性格も違いますので、

そこも考えなければいけません。

 

今回講座に参加された皆様は、初座を学びたいという志の方々ですので、

長時間、明るく、真剣に取り組んでくださり、

「分かりやすくて、楽しく学べました」と笑顔でお帰りくださいました。

安堵して感謝しつつ、実態は"まだまだ"です。

 

講座後の反省会で、メンバーから誰ともなしに、

「これから定期的に集まって、初座をbrush upしていこう」という話になりました。

 

これまで身に付けた手前をキープしたいし、

良くなかった所を良くしたいし、ひとつひとつの動きを吟味したい…

そして、「これをどう表現すれば、人に伝わるのか」。

 

「初座研究会」の発足です。

 

初座を受け継ぐ仲間として、

この先を見つめる思いが共有できたことは大きな喜びでした。

 

関の香割道具

 

 

2023青山ゑり華お香の会・新年は「此花香」で幕開けです

長年続けさせて頂いている

青山骨董通り着物屋さん「ゑり華さん」でのお香の会、

このお正月は「此花香」をご用意いたしました。

 

テーマは古今集の仮名序の中にあるお歌です。

仁徳天皇のエピソードなどを交えつつ組香を説明し、

難波津に咲く梅の花

そこに託された人々の想いを

香りを通して味わって頂きました。

 

お客様の中に、難波地区にご親戚がいらっしゃる方がいて、

なんでも、飛行機の窓からご陵を幾度もご覧になったとか…

 

こういう事、香席ではよくあるのです。

 

テーマについて近しい何かをお持ちのお客様が偶然いらして、

そのことをお席中にお話しくださる…すると、

そのイメージが連衆で共有できて、

皆にとってテーマがより身近になる、という。

 

この日の和菓子は

「カルタと梅」をテーマに骨董通りの菊屋さんに拵えて頂きました。

緑の直角がポイントですが、

これ、カルタ&お目出度い常緑の樹木を表現しているのかな…?

お味は、柚子でしょうか、爽やかな香りがあって、とても美味でした。

 

無事に、楽しく終わりました。

いいスタートです。

今年もよろしくお願いいたします。

この日のいでたちは、梅ではなく、

干支の卯を小紋の柄に忍ばせました。

 

 

 

 

2022年8月最新版 香道古心流のお教室・イベント香席 ①

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なんと6年間、古心流の教室情報を更新していませんでした。
これでは、古心流「公認」ブログとは言えません。トホホ…
 
最新情報を確認・整理しながら、
まずは私、伽羅メル(関)が直接関わっている会や教室からご紹介していきます。
 
●府中フリー教室 / 主催: 古心流お家元
会場: お家元宅(京王線 府中駅からバス)
日時: 月2回開催 (土休日と平日) 午前10時から
会費: 5000円
★ひとこと「毎回、組香及び手前などの稽古をいたします。伽羅メルは府中フリーの土休日教室に長年通っております」
 
●青山ゑり華 お香の会 / 主催: 青山ゑり華(呉服店)
会場: 青山ゑり華(青山骨董通り
日時: 月1回開催 (土休日) 午後2時から
会費: 5000円
★ひとこと「伽羅メルが長年イベント香席をさせて頂いております。
教室ではないので手前等のお稽古はありません。お着物着用が参加条件となります」

 
●キク下北 教室 / 主催: 関 馨峰
会場: ミカン下北 4階(サイクル バイ ケイオウ
日時: 月1回開催 (第三水曜日) 夜7時から
会費: 4500円
★ひとこと「香道の初心者向けの教室です。毎回組香を行う他、所作などの稽古をいたします。下北沢駅から徒歩1分です」

 
お問い合わせは下記まで
 
・「青山ゑり華」↓
TEL:03-6427-2720  営業時間:10:30~19:00  定休日:火曜・水曜
(※香席お申込の場合は開催日の一週間前までにご連絡願います)
 
・「府中フリー」↓「キク下北」↓
(※メッセージ確認にお時間を頂く場合があります)



※上記は2022年8月1日現在の情報です。予告なく変更となる場合もありますのでご了承ください。

香道お稽古会「若紫」スタート

 

ミカン下北の4階で始めたお香活動全般の名称を「キク下北」と定め、

イベントとしての香席は何度か開催いたしましたが、

 

昨日、7月20日に初めてのお稽古会がスタートいたしました!

香道の初心者の方を対象としたお稽古会で、

「若紫」という会名です。

 

短期(3か月)が基本で、

Season1がスタートしたところですね。

毎月第三水曜日の夜7時から2時間です。

 

Season1では、主に、

香席での「客としての」心得や香道具の扱い方をお伝えいたします。

…これだけでも、3回でお伝えしきれる自信は全くありません…笑

 

構想といたしましては、

シーズンごとにテーマを決めて、

香道についての話、香木の話を交えつつ、

いずれは香元や執筆の手前などもお伝えできたらと思っています。

もちろん、毎回、組香も行います!

 

昨日は「三景香」をいたしました。

翌日の今日が「日本三景の日」でしたので。

ああ、旅に出たい!!

昨日は香りの世界でお舟に乗り、日本三景を巡りました。

 

さて、このお稽古会、会場の関係で定員が5名様なのですが、

まだ余裕があります。

ご興味のある方は、

お稽古日の2週間前までにご質問・お申込くださいね。

 

今後の予定は、

Season1-1 …7月20日 済み

Season1-2 …8月17日 夜7時から

Season1-3 …9月21日 夜7時から

お稽古費用は毎回4500円です(香木代を含む)。

 

ご質問・お申込は、下記のアドレスからどうぞ

CONTACT | seki-ya (seki18.wixsite.com)