着物で香席 ✿ 漁𢭐香でした

10月のえり華は、「釣りの日」そして「まぐろの日」の前日ということで、
漁撈香(ぎょろうこう)をお持ちしました。

漁撈とは、魚や貝をとる仕事のこと。
漁撈香は、その情景を心に浮かべながら、香りを通して漁を楽しみます。

「なんだか、生臭さそう…」なーんて思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、
やってみると、シンプルにして実に面白い組香なのです。

この日は、まぐろの日の由来である万葉集のお歌にちなんで、
「明石」をテーマに香を組んでお持ちしました。

お客様のお一人が、「波」の香りについて、
「とてもやさしい香りだったので、これは“静かな波”なんだな…と思いました」
と、おっしゃった時、うれしかったですね。

この方は、北のほうの港のお生まれで、
漁港近くで遊んだ子供の頃を思い出しながら香りを楽しめました…と感想を寄せてくださいました。

香席には偶然の出会いがよくありますが、
組香のテーマが自分の世界とシンクロした場合、
やはり格別の深い味わいをかもしだすものですよね。
(逆もまたありますが)

香席後、
資料としてプリントしておいたけれど、魚臭く思われるかしら…と出しあぐねていた“現在の明石で獲れる旬の魚の写真”…を目にとめたS師範、
「まあ、なあにそれ! みなさんに見ていただいたら…」とすすめてくださいました。
お客様に回覧したところ、思いのほか好評で、
ああ、お持ちしてよかった、生臭かったのは他ならぬ自分自身(の思いこみ)だった…と学んだ私(笑)。

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海釣りをテーマに…とお願いしたところ、このようなお菓子が…ヒットです! この立派な竿でつれたのは、おいしい餡子でしたよ。