組香のここが聞きたい! その一

先日、町田教室にご一緒した、香道初体験のSさんから、

メールで質問をいただきました。

この内容のご質問、実は香席でよくいただきます。

みなさん、組香の「どこからどこまでが決まり事なのか?」というところが、

初めてだと掴みづらいようです。

招く側や、師範が、席中に説明してはいるのですが、

その場では、頭の中で結びついていない事が多いようです。

そりゃそうですよね。何から何まで初めて聞く、初めて見るものなんですから。

そんなわけで、いただいた質問と私のお答え、こちらに転載させていただきます。


~~~~質問です。

お香に、例えば牽牛、織女、月、扇、竹などの名前をつけるのは、全く恣意的なのでしょうか。

それとも決まったルールに則ってなされるのでしょうか。

それに、雲に詩歌、月に琵琶、織女に天上、これらの述部のイメージというか単語の選び方についても、

恣意的なものなのかルールがあるのか、お教え下さい。


~~~~お答えいたします。


組香の要素名は、組香の主題を表現するための大きな柱です。

要素名はあらかじめ決まっており、それを変えることはできません。

つまり、七夕香(一)という組香を行う際は、いつも同じ要素名です。

これは要素名だけに限らず、組香の構成・手順は、すべて、古より伝えられた通りに行われます。

その中で、唯一、変えていいのが、香名(香木)です。

どのような香りの香木を用いるのかが、お席により変わります。

香名とは、香木につけられた名前ですが、

私が学んでいる組香における香名の意味は、

招く側が「今回の七夕香は■■な世界で楽しんでいただこう! 牽牛は●●なイメージが伝わる香りがいいな…だから、▲▲の香木にしよう!」…と考えた、

●●の部分を、主題と響き合う簡潔な言葉で表現したもの、ではないかと思います。

(●●という名前で予め存在する香木を用いているわけではありません)

つまり、香名を見れば、招く側が、どういう心持でその香りを用意したか、くみ取ることができます。

なので、私はいつも香りを聞く前に、しおりに載っている香名を読んで楽しみます。

香名から、招く側の意図がビンビン伝わってくる時もあるし、逆によくわからない時もありますが、

わからないなりに推し量るのがまたおもしろいというか、

組香の主題自体は決して動かないので、その世界の中で、香名の意味を自分なりに考え、想像の羽を広げるのが、楽しいのです。