着物で香席 ✿ 桜香でした

3月の青山ゑり華お香の会は、27日“さくらの日”に行われました。

さくら…3×9=27のシャレと、七十二侯の「桜始開(さくらはじめてひらく」の日に重なるゆえの、さくらの日、らしいのですが、

当日は、まだ花もやっとちらほらの肌寒さの中、9名のお客様が集ってくださいました。

みなさん、小物使いやチラリズム(表現古っ)で桜をコーディネートしておられ、それが実に心憎い。

いつも思うのですが、ゑり華のお客さんはお洒落ですね。

(かくいう私も一応その一員なのですが、この日は、直球“桜”すぎる自分が恥ずかしくなるくらい、みなさんの抑え気味の桜がカッコよかったです)


さて、桜香、と名のつく組香は複数あるのですが、

今回は、「世の中に 絶えて桜のなかりせば…」の在原業平のお歌がテーマの桜香です。

一炷開きという、形式の組香で、一炉回るごとにお答えを出していただき、出も発表いたします。

本香は全部で9包あるのですが、二つ目の「桜」が出たあとに「風雨」が出れば、そこで終わり。残りはたかない、という決まりごとがあります。

…これって、風雨に散った桜を連想させませんか…? 着物じゃないけど、これもまた、お洒落だと思いませんか…!?

と、思わず酔いしれるほど、この桜香が好きな私ですが、今回、一番感動したのは、

初めて参加されたお客様が「こんなに小さな香木なのに、こんなに香るものなんだな…と思いました」とおっしゃったことです。

お客様の感性はいろいろ、感想もいろいろ、正解なんてないし、どれもみな素敵なのですが、

人の手では創りだせない、自然の営みの中で偶然に生まれた香木が、時を越え、海を越え、私たちの元にやってきて、いま香っているその瞬間の貴さ、一期一会を、お客様に汲み取っていただけたのでは…と、招く側として、胸がいっぱいになりました。

さらにこの日は、なぜか、本香たきおわりの段階でお茶タイムに突入してしまい、香記を差し上げる事と「香満ちました」が、お茶の後になるという、異例の進行に。笑

でも、K師範は笑って「もう…今日はお花見ですよ。だから、いいじゃありませんか」とおっしゃってくれました。こういう師範の一言が、いつもお席を素敵に引き締めてくれます。

香席が終わって。お店の方が撮ってくださいました。(気恥しくなるくらい満面の笑みですね)
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帯はずっと以前に、初めてゑり華さんで仕立てたもの。いまでも一番のお気に入りです。