帰雁(きがん)がテーマの如月香

毎月一度の青山えり華さんでの香席。

次で47回目…。もうすぐ丸4年が経ち、5年目に突入です。

こうして続けていかれるのも、みなさまのおかげです。本当に感謝しています。


毎回「次の香席は何をしたら喜んでいただけるかな…?」と、楽しくも悩ましいのが、組香選びなのですが、

次回の「如月香」は、お客様の一言がきっかけでした。

「来月、宮城県に雁を見に行くんです…」と、先月、えり華の会常連のお客様がおっしゃったのですね。

あるんですよ。宮城県大崎市の古川というところに、雁で有名な沼が。

実は私、生まれがこの古川なのです。母の実家があります。

でも、この沼を知ったのは近年のこと。

祖母がなくなり、葬儀で古川を訪れ、火葬場から帰るマイクロバスの窓から、

夕焼けの空を雁の群れがいくつもいくつも空を渡るのを見て、

まるで、祖母が天へ上ってゆくのを、雁が見送ってくれているみたいだな…(孫バカでごめんなさい)と思い、

「あれは…?」と親戚にたずねて、その沼の存在を知りました。

ラムサール条約に登録された沼が3つあります。(蕪栗沼、化女沼、伊豆沼※栗原市)


そういえば、雁の組香があったわね…とS先生。

帰宅して調べたところ、如月香というまさに2月の香席にふさわしい組香が…。

旧暦の如月ですから、いまの暦で3月頃の時候ですね。

燕がくる頃になると、雁は故郷を思って鳴く(そして帰っていく)…という内容の万葉集の歌が主題の組香です。

こうして2月の組香は決まったわけですが、

いろいろと調べているうちに、私もいつかその古川の沼へ行ってみたくなりました。

久々に親戚の顔も見てみたい…。


お香をしていると、森羅万象に縁づいて、思わぬことに興味が生まれ、

世界が広くなったり、ちょっと深くなったり…香道をしていてよかったと思う瞬間です。