初座・懐石・後座✿杜若香でした
先日、府中にて香席「杜若香」が行われました。
香席本来の流れ…初座・懐石・後座…で行われるお席とあって、
古心流でも、参加希望者が大勢いらしたのではないでしょうか。
伽羅メルは、運よく抽選に当選しまして、参加することができました。
当日のお席も、待合での籤筒(くじづつ)で決めるという風流な趣向です。
またまた運よく、五客…香元正面の通称「貴人席」になりました。(奇人席ともいいます。笑)
まぁ、どのお席がよいかは、人それぞれの好みと都合があると思いますが、貴人席は、「全体」をより感じやすいお席と言えるかもしれません。
「杜若香」は伊勢物語の九段、
唐衣 きつつなれにし…という、あのお歌が主題の組香です。
香を拵える初座の、香元がまさに手前に入ろうとした瞬間に、外から、ほのかにウグイスの声が…
たくまざる自然の妙に、香元も客も、感じ入りました。
初座では、後座の組香で使用される香を、香割道具を使って拵えてゆきます。
ゆったりと優雅に、そして無駄のない手前で、香木が割られ、小さな鋸が引かれ、組香で使用する分だけの香が拵えられます。
その様を「まるで旅支度をしているように感じた…」と後におっしゃる連衆もいらっしゃいました。
初座は、ほぼ、香拵えの様子を見ているだけのお席なのですが、
もうそれだけで、杜若香のプロローグにひたり、後座への期待が高まってゆきます。
私自身、感じたことは、
距離で言えば、一番香元から離れたところにおり、拵えれた香木がさらに小さく眺められ、
でも、小さいけれどくっきりと見え、その小さな香木が愛しいと思う気持ちがこみ上げてきました。
その気持ちを、京に残してきた妻を懐かしんで涙する、伊勢物語の男の心に重ねて過ごしていこうと思いました。
さて、香拵えも済んで、次は懐石…の流れです。
みなさん、どんなお料理だったのか、興味がおありですよね。
でも、今回は、撮影はしないで臨んだお席なのですよ。ごめんなさいね。
文だけでお伝えすると、
もちろん、懐石ですので、お腹が落ち着く程度の量で、いわゆる美食ではありません。
でも、一品一品が、杜若香にちなんで用意されたお料理であることが伝わってきて、
私は、旅の景色を眺めるように楽しんで、大変美味しく頂きました。
さて、後座。組香が平手前で行われます。
現代では、組香というと、この後座だけを指します。
さらに、後座の手前でも、イベント等では、本来の手前「平手前」が行われることはあまりなく、略した手前で行うことが多いです。
略した手前のありようも、もちろん、平手前と同じ心だと思いますが、
やはり、灰手前・拝見のある平手前は、いいですね…。
初座を主題の世界のプロローグと感じたように、やはり、お箸目を拝見していて、(山を越えて、いまどのあたりまで来たのかしら…)なんて、気持が高まっていきます。
いよいよ、香がたかれます。試香、そして、本香。
杜若香は出香、三種です。
初座で愛しく見えたあの香木たちが、奥深い香りとなって、語りかけてきてくれます。
主題の世界にひたりながら、香りを堪能できるのは、やはり至福だなぁと、改めて感じました。
(その時の自分によって、主題の世界に遊べない時もあるし、香りを感じにくい時もありますから…)
そして、初座~後座の香席は一日がかり。ずっと一緒に過ごす連衆は、まさに旅を共にしているようなもの。
その一体感は、やはり格別と感じました。
その後、連衆が香席での思いをそれぞれ語るシーンでは、涙あり、笑いあり、
まぁ、同じ旅路を歩んできて、あなたは、そういう風に感じていたのね…と、感心したり共感したり。
組香の世界が何倍にも広がる、楽しいひとときでした。
伊勢物語の杜若の場面は、まだ旅の途中。
組香が終わった後も、旅はまだ続いていきます。
それぞれの旅路を歩みながら、実はみな同じ道を歩んでいる…のかも!?
困りました。
一日過ごしてみて、あまりにも、初座~後座の流れがしっくりきたので、
なんだか、これ以降、後座だけでは物足りなくなりそう…そんな自分がコワい。笑
共に旅をしたみなさま、香席を実現してくださった先生方、ありがとうございました。
香席本来の流れ…初座・懐石・後座…で行われるお席とあって、
古心流でも、参加希望者が大勢いらしたのではないでしょうか。
伽羅メルは、運よく抽選に当選しまして、参加することができました。
当日のお席も、待合での籤筒(くじづつ)で決めるという風流な趣向です。
またまた運よく、五客…香元正面の通称「貴人席」になりました。(奇人席ともいいます。笑)
まぁ、どのお席がよいかは、人それぞれの好みと都合があると思いますが、貴人席は、「全体」をより感じやすいお席と言えるかもしれません。
「杜若香」は伊勢物語の九段、
唐衣 きつつなれにし…という、あのお歌が主題の組香です。
香を拵える初座の、香元がまさに手前に入ろうとした瞬間に、外から、ほのかにウグイスの声が…
たくまざる自然の妙に、香元も客も、感じ入りました。
初座では、後座の組香で使用される香を、香割道具を使って拵えてゆきます。
ゆったりと優雅に、そして無駄のない手前で、香木が割られ、小さな鋸が引かれ、組香で使用する分だけの香が拵えられます。
その様を「まるで旅支度をしているように感じた…」と後におっしゃる連衆もいらっしゃいました。
初座は、ほぼ、香拵えの様子を見ているだけのお席なのですが、
もうそれだけで、杜若香のプロローグにひたり、後座への期待が高まってゆきます。
私自身、感じたことは、
距離で言えば、一番香元から離れたところにおり、拵えれた香木がさらに小さく眺められ、
でも、小さいけれどくっきりと見え、その小さな香木が愛しいと思う気持ちがこみ上げてきました。
その気持ちを、京に残してきた妻を懐かしんで涙する、伊勢物語の男の心に重ねて過ごしていこうと思いました。
さて、香拵えも済んで、次は懐石…の流れです。
みなさん、どんなお料理だったのか、興味がおありですよね。
でも、今回は、撮影はしないで臨んだお席なのですよ。ごめんなさいね。
文だけでお伝えすると、
もちろん、懐石ですので、お腹が落ち着く程度の量で、いわゆる美食ではありません。
でも、一品一品が、杜若香にちなんで用意されたお料理であることが伝わってきて、
私は、旅の景色を眺めるように楽しんで、大変美味しく頂きました。
さて、後座。組香が平手前で行われます。
現代では、組香というと、この後座だけを指します。
さらに、後座の手前でも、イベント等では、本来の手前「平手前」が行われることはあまりなく、略した手前で行うことが多いです。
略した手前のありようも、もちろん、平手前と同じ心だと思いますが、
やはり、灰手前・拝見のある平手前は、いいですね…。
初座を主題の世界のプロローグと感じたように、やはり、お箸目を拝見していて、(山を越えて、いまどのあたりまで来たのかしら…)なんて、気持が高まっていきます。
いよいよ、香がたかれます。試香、そして、本香。
杜若香は出香、三種です。
初座で愛しく見えたあの香木たちが、奥深い香りとなって、語りかけてきてくれます。
主題の世界にひたりながら、香りを堪能できるのは、やはり至福だなぁと、改めて感じました。
(その時の自分によって、主題の世界に遊べない時もあるし、香りを感じにくい時もありますから…)
そして、初座~後座の香席は一日がかり。ずっと一緒に過ごす連衆は、まさに旅を共にしているようなもの。
その一体感は、やはり格別と感じました。
その後、連衆が香席での思いをそれぞれ語るシーンでは、涙あり、笑いあり、
まぁ、同じ旅路を歩んできて、あなたは、そういう風に感じていたのね…と、感心したり共感したり。
組香の世界が何倍にも広がる、楽しいひとときでした。
伊勢物語の杜若の場面は、まだ旅の途中。
組香が終わった後も、旅はまだ続いていきます。
それぞれの旅路を歩みながら、実はみな同じ道を歩んでいる…のかも!?
困りました。
一日過ごしてみて、あまりにも、初座~後座の流れがしっくりきたので、
なんだか、これ以降、後座だけでは物足りなくなりそう…そんな自分がコワい。笑
共に旅をしたみなさま、香席を実現してくださった先生方、ありがとうございました。