着物で香席 ✿ 梅雨香でした

芒種の前日、青山ゑり華さんでお香の会でした。

組香は、時候にふさわしい梅雨香。

とはいえ、しめっぽくなりがちな時期でもありますので、

今回は、ひとつ「夢の酒」という楽しい落語を、香組の題材にいたしました。(ハイまた落語です、すいません…笑)

向島を舞台とした、ちょっぴり(いや、かなり?)色っぽい香組です。

要素のひとつ、夏至なんかには、女盛りの婀娜(あだ)っぽい香りを…イメージはズバリ、緋色の襦袢 !

…などという楽屋話は、もちろんお客様にはせずに、自由なイメージで香りを聞いていただいていたのですが、

なんと、香席初体験のお客様が、ちょっとはにかみながら、「なんだか、蒸れた襦袢の香りがするような…」とおっしゃるではありませんか。

夏至の香りを指しての感想ではありませんでしたが、

私も、K師範も驚いて、「まあ、なんて素敵な…(鑑賞)」と申し上げたら、

からかわれたとお思いになったのか、お客様はとまどいの表情。

そこで、香組の背景をお話したら、やっと、にっこりとほほ笑んでくださいました。

そうしましたら、今度は、会の常連のお客様が「私も緋色の襦袢が見えた!」とバラ色の頬でお話しくださるではありませんか。

「でも、私のイメージは、落語ではなくて“サスペンスもの”…最後は刃傷沙汰になるという…」。

…どうです、みなさん。素敵だと思われませんか?

香名という同じ道しるべをご覧いただいても、歩まれるイメージの世界は人それぞれなのです。どの道も、まちがいではなく、どの世界も素敵なのです。

さらに、そのお客様は、何回かこの会に参加しているけれども、今回のようにイメージの世界に深く浸って楽しめたのは初めてだったということと、そして、忙しい日々の中で、今日の香席がどんなに待ち遠しかったかということを、情熱を込めて語ってくださいました。

私は、お聞きしていて涙が湧きあがってきてしまいました…。

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梅雨香のための和菓子です。白い花は梔子(くちなし)です。
食べるのが惜しくて、最後まで花を残しながら頂きました。