閏月香✿お店引っ越し前の最後の香席でした

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いまの暦に慣れ親しんだ私たちにとって、「閏年」と言えば、2月が29日ある年のこと…になりますよね。

でも、明治まで使われていた旧暦では、「閏年」と言えば、「閏月」がある年のこと。(つまり、旧暦では、まるまる1ヶ月増えて、その年は13ヶ月になるんですね)

「閏月香」は、旧歴の閏月がテーマの組香です。

今年は、いまの暦でも旧暦においても閏年に当たります。

旧暦では、今年は、3月が二度あります。その二度目の3月を「閏三月」といいます。

たまたま4月のお香の会開催日が、旧暦の閏三月中でしたので、(これはもう閏月香を楽しんで頂くしかない!)…と意気込んで準備を始めましたが、

暦について、いろいろと調べていくうちに、まぁ、その奥の深いこと、興味の尽きないこと…

あまりにも大きなテーマに、飲みこまれそうになりながら本と格闘する日々でした。

旧暦の成り立ち、二十四節気との関わり、閏月の入れ方、そして改暦、その理由…

なにせ、私なぞ、2月の閏日からして、(その日は本当に1日分時間がのびるのかな~不思議だな~)ぐらいに考えているような、呑気な人間ですから(笑)、大変勉強になりました。

一番の収穫は、日々、カレンダーに追われて暮らしている私ですが、

いまの暦にしろ、旧暦にしろ、「時の流れを支配するもの」ではなく、「人間が便宜上作った枠(暦)と実際の自然がずれていかないように、なんとか工夫を凝らしたもの(それでも完全には対応しきれない)」…それが「暦」なのだという認識を持てたことです。

いつも、香席の準備のために、いやおうなしに色々と調べることが、物事を知らない私にとって、勉強であり、出会いです。(お香をやっていなければ、これを調べる機会はなかったろうなぁ…こんな面白いことを!)と、思うことがよくあります。

さあ、当日の香席では、テーマでもある旧暦閏月のお話から始めさせて頂きましたが…

下調べをしていて「そうだったのか!」とか「おもしろい!」を感じたことを、分りやすく盛り込めるかしら…と心配でしたが、

みなさま、少しでも旧暦に親しみを持ってくださったでしょうか…?

さて、今回のお香の会は、第49回目。

第1回目から、まるまる4年がたち、5年目に入る最初の香席だったのです。

さらに、また別の意味でも、区切りを感じるお席でした。

実は、会場である着物屋さん「青山 ゑり華」さんが5月中に引っ越しをなさるので、

こちらでお香の会をするのは最後の日だったのです。

引っ越し後もお香の会は続くのですが、

この店舗の、この2階のお部屋で、みなさまとお香を楽しむのは、今日が最後なんだなぁ…と感慨もひとしおでした。

この4年間を通じて、いつも集ってくださるお客様の温かい笑顔に励まされ、新たにご参加くださるお客様のキラキラした好奇心に元気を頂きました。

香席は、お席が一体となって形づくるもの…。

ここ、青山ゑり華さんでのお香の会は、その一体感において、当初から素敵なお席でした。

それは、お店から出された唯一の条件「お着物で参加する」という一点が、やはり光っていたのだと思います。

お客様同士、毎回初対面でも、お着物を愛する方々ならではの親しみ、なごやかさがお香の会に漂っていたと思います。

そんなわけで、今回の閏月香の香組は、(着物の材料となる)お蚕さんが食む「桑」の四季で組ませて頂きました。

香席後のお菓子も、桑の葉か実のイメージで…とお願いしましたところ、このように素敵な和菓子が…
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いつも、テーマに合わせて菓子を拵えてくださる菊屋さん、それをプロデュースしてくださるゑり華さんに感謝です。


新店舗は、ゑり華通信によると、広くてフラットな空間のようですね。

青山界隈であることは間違いないでしょう!(「青山 ゑり華」さんですからね。笑)

それでは ! また、みなさまとお会いできますことを、香元・筆者共に心待ちにしております!!