続 吾野へ


そんなこんなで、アスレチックな気分を味わいながら、吾野の庵へ。

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う~ん、素敵です。
大自然に囲まれた一軒家。
草履で草を分けて来た甲斐があるというものです。

この日、行われた香席は「一客一亭盆飾付手前」による略十種香。
(いっきゃく いってい ぼんかざりつき てまえ…と読んでくださいね)。

この手前は、その名の通り、お客様が少しみえて、亭主が「では、お香でもいたしましょうか」という時(または茶席の前後)に的した略手前です。

でも、いまの時代、『では、お香「でも」いたしましょうか』と、そういうアドリブ的なノリで組香でお客様をもてなすことのできる亭主が一体何人おられるのでしょう。

そして、そのサプライズ的なおもてなしに『いいですねぇ』と応えて、自然体で組香を楽しむことのできるお客さんが一体何人おられるのでしょう。

つまり、亭主も客も、お香をよく知っている同士でないと成立しない手前…とも言えます。

略手前ながら「奥の手前」といわれる所以ですね。

この日は、門人がこの手前を学んだ「発表会」として行われたお席ですので、
客一同は、お香が行われることは、もちろん知っておりましたけどね。笑

が、少しでも、本来の雰囲気を楽しんで頂こうという趣向なのでしょう、
どんな組香が行われるかは、客一同知らされずにやって参りました。

で、略十種香だったわけですが、これがまた良い香組で…。

一同なごやかに、素晴らしい香りの世界に遊ばせて頂きました。

さて、この手前が、組付や埋込などの略手前と違う点は多数あるのですが、
そのうちのひとつが、執筆(筆者)がいない点です。(招く側は一人なので)。

でも、組香を行う以上は香記をしたためる筆者が欲しい…

…で、どうするかというと、亭主が「お書き留めをお願いいたします」と、正客に頼むのです!
正客は硯と料紙を預かり、客として過ごしながら、お席の流れの中で、(文台を使わず)香記を書いていく…という。

今回、伽羅メルはこの正客をさせて頂いたのですが、
いや~楽しくも勉強になりました。
みなさまからお歌や句が出て、
それも全て香記にしたためようと、盛り盛りの香記になってしまいました。笑

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香席が終わり、お庭へ。
この日、香元を務めたこの方も、ひと息つかれて…。
手にされているのは、柿の葉。
秋の彩りです。
素敵な香席をありがとうございました。

お庭では、香席後のお楽しみが用意されていて、
一同、心ゆくまで秋の一日を味わいました。

吾野版、細雪?…な一場面。
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みなさま、そして、先生方、ありがとうございました。

帰り道、和菓子屋さんがやっぱり開いていなくて、「馬糞饅頭」が買えなかったことだけが心残りでした。笑